菓子函 〜ロジカル・バレンタイン〜
Individual episode outline
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H度=★★☆☆☆
乙女度=★★★★★
ショタ度=★★★★★
◆ トモ 編 「他の男の目には、触れさせたくない」

 トモと「出会って」から結ばれるまでを小夜音視点で描く物語。 
 夏を過ぎた頃から、鈴の音が気になりだした。
 季節外れの風鈴。自転車のベル。グラスの触れる音まで。
 耳にすると、何故だか立ち止まらずにはいられなくなった。
 胸の底が泉のように透き徹っていって、水色の宇宙に、鈴の音がりんりんと三次元の波紋を投げかけていく。目頭が熱くなって……切ないような痛いような気持ちにせかされるまま、私は走り出す。そして、音の源にたどりついて、がっかりするのだ。
 軒先の風鈴。歩行者を追い抜く自転車。乾杯のグラス。
 違う。これじゃない、と。


H度=★★★★★
乙女度=★☆☆☆☆
おバカ度=★★★★★
◆ 若槻 雄大 編 「おかしく……なっちまえよ!」

 雄大の悩み?をヒコに相談するところから始まり、小夜音とラブラブなホワイトデーを送る雄大視点の物語。
「ごめんね、髪まで洗ってたら、時間がかかっちゃって……」
 言いながら、小夜ちゃんは長い髪をタオルでパンパンとたたいた。着てるのはバスローブだ。そのカッコを見て、俺はたちまちキゲンを直した。
 濡れた髪って、色っぽくていいよなー。ふだんは上げてる小夜ちゃんの髪は、下ろすと背中らへんまである。洗い髪をたらして、ほこほこした湯上がりの肌から、石鹸のにおいをさせてる小夜ちゃんは、ふかしたての中華まんみたいに、さあ食べろ!いただきます!って感じだ。くうっ、かわいいぜーー。


H度=★★★☆☆
乙女度=★★★☆☆
耽美度=★★★★★
◆ 瀧中 天彦 編 「わからない。何が欲しい?」

 バレンタインのお返しにと、ホワイトデーに小夜音を家に招いた天彦の視点で描く物語。
「じゃあ、もうしばらく我慢していてくれる? 後で取ってあげるから、それまでは花の愛撫で艶つけしておくのも悪くないんじゃない」
 小夜ちゃんは一瞬目を丸くして、それから、桃色の着物よりも赤くなった。
「ヒ、ヒコ、あの……」
 僕は微笑んだ。花枝に手をのばして、白い襟足にさらに幾輪かの梅花を降らす。
「僕はそこまで着物道楽でもないしね、着物よりは中身の方に興味がある。せっかく装わせたんだ、ただ帰すつもりはないよ」
 囁いて、そっと唇をついばむと、小夜ちゃんは素直に躰を寄せてきた。


H度=★★★★☆
乙女度=★☆☆☆☆
エロ教師度=★★★★★
◆ 三浦 大輔 編 「……泣くなよ?」

 小夜音から相談を受けたことをきっかけにつきあい始めた2人。その様を、時函中唯一の三浦視点で描く物語。 
 俺は、はたき落とした煙草を床から拾い上げると、立ち上がって灰皿に押しつけた。そのままの姿勢で、ぼそっと呟く。
「……悪い。今の、冗談。さっさと帰れ」
 だが、倉敷が立ち去る気配はなかった。
「冗談って……どこまでが? 先生とつきあおうっていう、提案が? それとも、先生の気持ちが冗談なんですか。ねえ、教えて、先生」



H度=ありえない
わんぱく度=★★★★★
◆ もーちゃん 編 「オレもニンゲンのこと、好っきやで!」

 サイバーエンジェルと過ごすほのぼのホワイトデー。もーちゃんの日記という形で綴られる物語。
「もらえへんかったんか? もらえへんかったんやな、やーい!」
「ちょっとした手違いがあったのよ、間違えて包み渡して……」
「オレ、知っとんで。ホワイトデーにお返しもらえんのは、『ふられた』女やねん! フラレタ女や、やーい、やーい、やーい!」
「どっ……どうせ私は、ホワイトデーにひとりで家でパイ焼いてるような女よ、悪かったわねーーー! もーちゃんなんて……もーちゃんなんて、大嫌い!」
 ニンゲンはそれから、ぶちってマイクを切りよった。あーーっ。ヒキョーもん!!


H度=ありえない
癒し度=★★★★★
◆ すかちゃん 編 「世界で一番大好きどすーーー」

 サイバーエンジェルと過ごすほのぼのホワイトデーその2。すかちゃんの日記という形で綴られる物語。
「それがアホやいうねん。ツーハンいうんは、ここのサイトけ? ……ほーら、見てみい。『後払い』は、品物と一緒に『請求書』が送られてくんやで。ほんで、二週間以内に金払えへんかったら、品物返さなあかんねんでっ」
 うちは、びっくりしたどす。うち、そんなこと知らへんかった。二週間以内に『気象予報士』になってお給料もらうんは、無理どす。
「二週間で返さなあかんモンなんて、もらってうれしいわけないやろー。オマエ、あほやな。あほやー、あほやー、あほの子やーー」
「うち、あほやない……」


H度=☆☆☆☆☆
貴公子度=★★★★★
◆ 倉敷 小夜音 編 「私が何をしたって言うの……?」

 サイバーエンジェルと過ごすほのぼのホワイトデー後半。小夜音の日記という形で綴られる物語。
 それに対して、憂鬱な理由のひとつは……バレンタインを思い出すってこと。
 私が悪いんだけど、あの日、プレゼントを間違えて渡して……後は……あんまり思い出したくない展開になった。いいのよ、これはきっと、私には彼氏なんてまだ早いって、神様が言ってるんだわ。しくしーく。
 憂鬱な理由の二つ目の方は……今日の午後に、宅急便が運んできた。


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